後見チーム座談会

後見チーム座談会

(1) どうして法人後見が必要なんでしょうか?
(2) 後見制度を利用することで,どのような法律問題が解決されますか?
(3) 後見センター設立の経緯を教えて下さい。
(4) 後見センターの稼働状況を教えて下さい。
(5) 当事務所における後見等事件の特徴はなんですか?
(6) 後見等事件において,気を付けていることを教えて下さい。
(7) 後見等事件において,苦労していることを教えて下さい。

<0 簡単に自己紹介をしてください。>

広報PT:(以下「PT」)じゃあ,まずは自己紹介をお願いします。

西尾:(以下「N」)後見センターセンター長をしております,西尾史恵(ニシオ フミエ)と申します。後見専従弁護士になって3年目になりました。よろしくお願いします。

伊藤:(以下「I」)社会福祉士の伊藤清郁(イトウ サヤカ)です。就職して3年目です。後見業務は白紙の状態で就職をしました。毎日,一からの勉強でさせていただいていて,最近ようやく,後見の仕事ってこういうものなのかなっていうのが少しずつ,分かってきたぐらいの,若輩者です。よろしくお願いします。

PT:伊藤さんは,後見については白紙の状態とおっしゃいましたけれども,これまでの経歴は,どういうお仕事をされてきたんですか。

I:経歴は,大学卒業後,一般の会社に就職しましたが,思うところあって精神保健福祉士の資格を取得し,精神科病院で,5年間ソーシャルワーカーをしました。その後,「国立吉備高原障害者職業センター」で,6年勤め,岡山市の「こころの健康センター」で,精神障害者の方の地域移行支援業務に携わった後に,パブリックに入職しました。転々としております。

PT:西尾先生は,センター長になる前や,弁護士になる前に,後見事件に携わるような仕事をされてきたりっていうのはあるんですか。

N:私は平成8年から平成18年まで,「森安法律事務所」に事務員として勤めていましたが,後見事件は1回もやったことがありません。

PT:じゃあ,弁護士になってから携わるようになって,センターができたときからセンター長をされているということでいいんですね。

N:センター長は平成28年4月からです。

PT:センター長は当初は水谷先生がされていて,最近センター長になられたと。

<1 どうして法人後見が必要なんでしょうか?>

PT:弁護士,社会福祉士それぞれの視点から,なぜ法人後見が必要とされているのかを,簡単に説明していただけますでしょうか。

N:簡単に言うと後見人の仕事が大変だからです。1人で,ご本人の人生を全て担うということは不可能だと思います。

PT:弁護士の視点からすると,個人で,後見事件を完璧にこなしていくのはなかなか難しいことで,だからこそ法人で,組織として関わっていくということが必要だということですね。伊藤さんはどうですか。

I:同じように,複数で関われるというメリットは大きいと思っています。職種が様々だというパブリックの特徴もありますが,その方の生活のいろんな選択肢を考えるなかで,簡単に決められる状況ばかりでなく,非常に判断に迷う状況の方も大勢いらっしゃいます。そういう時にチームで相談して,多角的な意見が反映できたり,弁護士,事務,社会福祉士の専門性を活かした視点を素早く活かせるのが,強みなんじゃないのかなあと思います。

PT:なかなか,1人でやってると,抱え込んでしまうというか,行き詰まったりすることがあるけれども,他職種とのチームでやる中で,色々アイデアを出し合って,事件を進められるのがメリットだ,というところですかね。

<2 後見制度を利用することで,どのような法律問題が解決されますか?>

PT:次に,後見制度を利用することで,どのような法律問題が解決されますか?って書いたんですけど,こういう複雑に絡み合っている事例が,こういうやり方をして綺麗になった具体例,とかで良いので,何かあれば教えてください。

N:法律問題は,裁判というイメージですか。

PT:別に法律問題に限らずで良いです。問題解決という意味では。

N:分かりやすいのは,法律行為ができるようになるので,停滞していた遺産分割ができるようになったとか,借金の請求がどんどん来ているところを,後見人が法的な整理ができるようになったとかです。メリットとしては,そういう財産管理のところだけじゃなくて,身上監護の困難案件に対してパブリックが入るということで,上手くまとまっていくというケースが多いと思います。それは,伊藤さんとしてはどうですか。
I:例えば,経済的な搾取を受け,ご家族同士のお金のトラブルがあったものが,後見人が受任して,間に入り,それぞれの生活を始めたときに,第三者が入ることで,形を変えた,ご家族の新たな関係性が生まれ,うまく回りだし,関係が滞ってたりぐちゃぐちゃにこじれていたものが,整理できることなどがあるので,後見人が間に入ることの効果を強く感じます。
N:経済的虐待をしていた息子さんが,世帯分離によって生活保護を受給して立ち直り,お母さんはお母さんで無事施設に入っていくということもありますね。
I:そうですね。

PT:最初に言われていた,身上監護が困難な案件というのは,どういった案件を指していて,それに対してどういったアプローチをしていくのか,というのはどうですか。

N:例えば,在宅で過ごされている方で,認知症なり精神的な障害があったりして,近所の方からも不安感がある時に,パブリックが保佐人になりましたとか,何かあったときはすぐに対応しますとして,在宅生活が維持できるような場合,とかです。火の扱いが危ない方に関しては,ガスを止めてIHに変えたりとか,できることをするというアピールをする。地域で生活をしていくことが難しいところを,パブリックが入って,定期的な訪問やサービス体制を組むことで,地域の理解を深められる。

PT:在宅の方だけではなく,施設に入所されている方にとっても,後見が入ることは何かメリットになりますか。

N:身寄りが無い方は,契約ができます。後見人を付けるという条件で施設入所ができる場合も多いので,それがメリットです。申立の,感覚的には3割4割が,施設入所することが理由です。

<3 後見センター設立の経緯を教えて下さい。>

PT:では,後見センター設立の経緯を教えて下さい。これは西尾さんですね。

N:あ,ちょうど水谷先生が来られました。前センター長が来られました。水谷先生,ちょうどいいところに来られたので,いいですか。

PT:設立の経緯を教えてください。

水谷:(以下「M」)一昨年の・・・?
N:私も今考えてました(笑),いつだっけ,伊藤さん(入職が)3年前でしょう?とすると,平成25年の1月とかでしたよね。

PT:そうするともう3年半立ちますが,その3年半前は何があったか。

M:要するに,受任件数が増えてきて,それを合理的に運用していくためには,専門部のような部署があってしかるべきだろうと思い,作ったんですよ。

PT:その当時,どれぐらいの受任件数だったんでしょうか。

M:300件強だと思いますね。

PT:300件強に達したときに,もう専門的に担当する人を置こうということで,センターを設立しようとなったという経緯ですかね。その時に在籍した社会福祉士が,新名さんと尾﨑さん。その後に入られたのが・・・,

N:青井さんと伊藤さん。

PT:で,すでに勤務していた孔(コン)さんが社会福祉士の資格を取って,現在の体制の前提が整う,ということですね。

M:結局,弁護士と社会福祉士と事務局が三位一体で業務をしていくというスタイルが確立されたので,そういう専門部として。

PT:そうすると,センター設立の経緯は,事件数が増えて専門的な管理を,というところだったんだけれども,いざ設立してみると,内部での意思統一も図りやすくなって,もっと事件数を持てるようになって,体制整備が進んできたというところですね。

<4 後見センターの稼働状況を教えて下さい。>

PT:では次にいって,今の稼働状況というか,今はどんな風にセンターを運営しているのか。

M:ちょっと,出ます。

PT:お忙しいところすみませんでした。

N:件数であれば,稼働しているのは,467件です。
I:まだ,5月までしか出てないですけど。

PT:センターの持ち件数が,平成28年5月末時点で,467件ですかね。

N:稼働件数が,ですね。全件数というのが,動いていない申立待ちも含めると,560件くらいあります。

PT:それを,企業秘密に触れない範囲でいいので(笑),どういった体制で今運用しているのかというのを教えてください。

N:後見センターでは,管理部と,弁護士チーム,社会福祉士チーム,事務局チームというのが個別にあるんですが,基本的には,弁護士・社会福祉士・事務局の三位一体制なのは変わらず,です。管理部が今は受任を取りまとめて,受任するかどうかを判断して,各担当に振り分けているという状況です。

PT:その467件が,どういう風に振り分けられるという状況ですか。

N:個別の事件数の負担度合いをみてやっています。近い将来,部制を敷きたいとは思っていますが。

PT:弁護士・社会福祉士・事務局という三位一体があるとして,それぞれの現在の負担状況を見ながら管理部が事件配点している,というやり方を今はとっているんですね。単純に弁護士2人だったら1人当たり200~300件だし,社会福祉士5人だったら1人当たり100件弱だし,事務局が8人だったら,1人当たり60件弱を持っている,というような計算だということですか。

N:それはバラツキがあるから,少ない人にどうしても配点が集中してしまうので・・・

PT:そのへんは,バランスを見ながら,管理部が振り分けているという状況ですね。

<5 当事務所における後見等事件の特徴はなんですか?>

PT:それで,ここからですけれども,当事務所における後見等事件の特徴を,前半にも出てきたかもしれないですが,こういうところに特徴を持ってやっているんだというのはありますか。

N:特徴といえば,やっぱりパブリックは,法人の中に弁護士と社会福祉士と事務局が入っているっていうことで,身上監護に関しては,社会福祉士も,とりわけ資格を持っているだけではなくて,そのスペシャルな,熱い方たちばかりが指揮をとっていることじゃないでしょうか。

PT:伊藤さんの方からは。

I:はい。後見類型の方だけじゃなくて,保佐・補助の方のパーセンテージも,全国平均から比べたら多いようです。保佐・補助の方は,まだまだご自分でできる部分も多く残されているので,そこをいかに,活かしていただきながら,周囲がサポートするかみたいなところが,場面として多く出てくるのかなと。在宅の方の場合,特にそのような場面が多いかと思います。施設におられると,守られた空間で後見人としては安心なんですけど,在宅の方だと何が起こるかわからない。この間も,行方不明になられた方を,深夜2時まで,担当の弁護士が捜したりとか,警察対応していたりとか,ありましたね。その辺りが,パブリックの特徴かもしれません。まだできる部分が多く残されている方も,たくさん受任している。その分,よりたくさんの手やエネルギーが必要になります。でも,その生活の寄り添いがパブリックで身上監護にあたれる醍醐味でもあるとも感じています。倒れそうですけど(笑)

PT:成年後見とは,事理を弁識する能力を欠く常況にある者,例えば,寝たきりの人だったり,さらには植物状態の人だったり,ということであれば,そんなにご本人が活動的ではないので,財産管理の問題を整理していくと,それでほとんどが済むこともあるかもしれません。この事務所の特徴としては,保佐・補助のように,まだ事理を弁識する能力が残されているというか,低下していない人の対応も,件数としては多くなっている,というところですね。

N:後見センターの,キャッチフレーズ。

PT:はい。とはなんですか?

N:広げる繋がる支援の輪,思いを繋ぐ,パブリック
I:ですです,そういう感じです。
N:広がる繋がる・・・
I:どっちが先でしたかねえ(笑)

PT:そういう理念でやっていると(笑)

N:寄り添い型です。

PT:本人の権利擁護,というか,そういうところが,件数としては多いし,そういうところを意識しながら進める事件の割合が多いだろう,というところですね。

<6 後見等事件において,気を付けていることを教えて下さい。>

PT:次,後見等事件において,気を付けていることを教えて下さい。

N:弁護士として,ですけど,後見事件の場合,通常の依頼者と異なり,法律事務所などに自分の問題を持って来られる方々ではなくて,こちらからアクセスしていかなければならないです。そして,弁護士に会うのは初めてとか,裁判所に行くことはまず無い方々ですし,支援者の方々もそうですし,ましてご本人は判断能力が低下している方が多いので,第一印象として,この人は味方なんだ,信頼できる人なんだと思ってもらえるように意識しています。

PT:それ以外には?

N:ちょっとした発言でも,すごく気にされたり,思い込まれたりとかあるので,自分の発言や態度に関しては,神経を尖らせることが多いです。

PT:ご本人に対する関係というところ以外の部分でも,何か気をつけていることってありますか。

N:そうでなくても弁護士って敷居が高いと言われるので,なるべく身近に感じてもらえるようにしているつもりです(笑)なるべく顔がみえる関係になった方が良いと思うので,可能な限り直接訪問をするように意識しています。

PT:はい,社会福祉士の立場で気をつけていることは?

I:冒頭で話したように,本当に後見業務ということの知識は皆無で来ているので,私自身,就職する前は,後見人が就くっていうことは,その方にすごいラベリングがされて,何もできない人,その代わり守られる人なんですが,できないというところがすごく貼り付けられるイメージがありました。実際業務に携わる上で,たとえ後見類型の方であったとしても,最初に自分がレッテルを貼らないように,保佐であっても補助であっても,その方が持っている強みは何なのか,活かせる部分はなになのかを意識しながら,1人では難しい部分を補う立場でありたいなぁと考えています。あくまでご本人の人生はご本人が主役なのですが,こちらで勝手に,選択肢を決めてしまわなければならない場面もたくさんあります。ご本人は希望も言えないし,はっきりわからないし,っていう方ももちろん大勢いらっしゃいます。けれど最初に必ずご本人にとって最善の選択は何なのか,後見人や支援者側の都合で決めてしまっていないか,ご本人の立場を代弁できているか,立ち返って考えるようにしています。ご本人が意思表示できればなおさらです。ご本人の選択肢が後見人から見れば明らかに適切でないと思われることもあります。けれど悩んで悩んで,機械的に一方的に決めるのでなく,立ち止まって考えられるようにしていきたいなぁと思っています。なかなかそうできない場面も多くあるなあというのが正直なところでもありますけど。

PT:僕の要約が正しいか自信がないですが,目線を同じくするというか,レッテルを貼らずに生のご本人と対峙するということだと思うんですけれど,それってどちらかと言うと,ソーシャルワーカーをやっていたら当たり前の世界なんじゃないんですかね。

N:エンパワメントですよね。

PT:そういった視点というのを,ひとりひとりのご本人に当てはめていくところを意識をしているということですかね。

I:上手く行かないという時も多くありますが・・・
N:やっぱり件数が多くなっていくと,かける時間も少なくなっちゃうから,そこは気をつけないといけないところですね。

PT:件数はある程度持つということと,1人の方のために時間を割くというバランス感覚が大事だ,というところですね。

N:センターの課題です。

PT:ご本人に対してというところ以外で,気をつけているところはありますか。

I:ずいぶん多くの関係機関の方と接する機会があるので,まずその関係機関の方との信頼関係も築けるように,なるだけ丁寧に接するというところを,心がけています。それを通じて,いろんな広がりがあったりするので。でも,それともう一つ,やっぱり後見事件ってご本人の希望というよりも周囲の要望でご依頼をいただくことも多々あって,(ご本人の希望と周囲の要望が)一致していない場合もあるんですよね。客観的に見れば,支援者の視点が妥当だったり,やむを得ないのかなと思う場面も多くあるんですけど,そこの食い違いを,後見人の立場として,俯瞰してみる必要があると思っています。生活を守るためにはご本人の立場だけにもなりきれないところも絶対ありますし,かといって支援者側の意見のみにグラグラしてはいけないなという思いも持っており,あくまでご本人のサイドに立ちつつ,俯瞰してみるというところを気をつけています。

PT:昨年発表された,厚生労働省の推計では,2012年の時点で,認知症高齢者だけで約462万人。それが2025年には700万人を越えるという推計がされていて。これ,認知症だけですよね,知的障害とか精神障害の人は含まないようですけど。それに対して,実際に家庭裁判所が後見人をつけている事件は圧倒的に少ないという中で,まだまだ埋もれている人がいるわけだから,そうした埋もれている人をどうやって紹介してもらうかというところも,やっぱり考えるんですよね。どうでしょうか。

N:後見制度っていうは,ご本人がお願いできることじゃない,周りが付けることが多いのですが,ご本人が心からこの制度を利用したいと感じるのが1番理想だと思うんです。後見制度を利用しなくても構わない人はたくさんおられるので,必要な方だけに後見人をつければいいと,私は思っています。

PT:ご本人が,自分が後見状態になったとき,どうしよう不安だ,というのの予防策としては,任意後見制度がありますが,依頼とか相談は結構あるんですか。

N:無いことは無いですけれど,件数的には少ないです。

PT:制度自体が周知されていない感覚はあるんですかね。

N:そうですね,こちらの努力不足かもしれません。

PT:そうするとやはり,後見制度を円滑に利用して行くためには,ご本人の周りの人たちとか,施設の人たちからの紹介もあるけれども,やっぱりその段階に至る前のご本人というか,自分のことなので,将来のために任意後見制度を使ってと言うのが理想的ではありますよね。

N:そうですね,はい。

PT:ただその辺は,なかなか広がりを持っていかないというところですね。

<7 後見等事件において,苦労していることを教えて下さい。>

PT:では最期,苦労していることを教えて下さい。気をつけていることと苦労していること,まあ同じかな(笑)

N:1番は,想定外のトラブルが発生するので,自分の努力では対処できない病気だとか事件だとかのことが,しかも日中ではなく,夜間だとか休日だとかに発生することは,実際苦労しています。

PT:コントロールできないというところ,ですかね。伊藤さんはどうですか?

I:それは同じですね。突発的なことが起こる。件数が多くなればなるほど,必然的に回数も増えていくので,その辺の体制っていうのは,非常に大事かなとは思うんですけど。

PT:さっき,午前2時までご本人を捜していたみたいな話がありましたけれども,対策というのは,やっぱり組織で順番に対応していくっていうことに尽きるんですかね。現状は。

N:できる限り法人としてやっていますけれども,やっぱりご本人のご家族ではないので,24時間対応っていうのは現実的には難しいですね。

PT:たまたま今日,NHKのインターネット上の特集を見ていたんですけれど,介護殺人の話をしていて,どうして殺人に至るのかっていうところが,やっぱりご家族がずっとご本人にとらわれてしまうというところ。行く先は殺人まで言ってしまうっていうのを見ていて,そういうことを予防していくためにも,早めに弁護士に相談していただいて,チームでの後見体制に結びつけていくとか,っていうのができたらいいですね。

<8 後見事件をやっていて,楽しい事ってなんですか。>

PT:最後,追加の質問。後見事件をやっていて,楽しい事ってなんですか。

N:どうですか・・・
I:たくさんあると思うんですが・・・

PT:ありすぎて答えられない(笑)

I:1番大変な時に就任することが多いので,行き詰まっている状態でスタートするじゃないですか。それがちょっとずつ整理できて,その方の生活が上手く回りだした時,とか。それが在宅だったり施設入所だったり,転機はいろいろだと思うんですけれど,ご本人自身が元気になった姿を見たときっていうのは,やはりよかったなって思います。悩むんです。特に在宅案件で,どのタイミングで入所するのかとか,入所しないのかとか,一緒に考えることが多いので。やっぱり自宅に居続けたいと思う方は本当に多いんだなって改めて感じているんですけど,明らかに上手くいっていない,ドロドロで家に居るっていう方がいらっしゃって,支援者とも悩みながら相談しながら。ご本人がちょっと元気を取り戻したり,活力が出てきたりすると,やっぱり安心して生活できるっているのはこういうことなのかなって思うので,そういうご本人の変化がみられる時はすごく嬉しいです。

PT:西尾さんは。

N:弁護士だったら,難しい裁判に勝ったとか,刑事事件で無罪を取ったとかわかりやすいですが。それとはちょっと毛色が違う仕事をしているので,私にとっては,さっき伊藤さんも言われましたけれど,長期間精神科病院に入院していた人が在宅に復帰できて,それがすごく上手く行っている時とか,長年会えてなかった家族が,パブリックが入ることによって面会ができるようになったとか,繋ぎができた時が,数少ない喜びですかね。上手くいくことばっかりじゃないんです。失敗することも多いので。

PT:そうですよね,なかなか上手くいかない,家族も全然関わり持ってくれないしっていうケースもあれば,ポンって上手くいく事例もありますよね。僕なんかは,当初めちゃくちゃ警戒していた人が,何年か経つうちにだんだん慣れてきてくれて,困った時に向こうから連絡をしてきてくれるようになったりすると,ああ,今信頼されているんだなっていうのは,ちょっと嬉しかったりしますね。

N:分かります。
I:ありますね。

PT:実は,弁護士からしても,かなり法的にごちゃごちゃしているところに入っていって,色々とアイデアを出しながら整理していくっていうのは,弁護士の仕事じゃないっていうようなことではなくて,それも1つ,弁護士としての仕事としては珍しく創造的な仕事なのかなとは思いますね。通常業務では,後ろ向きな仕事が多いですからね。

N:ありますよね。

PT:そんな感じですかね。あと何か,これは喋った方がいいんじゃないかということはありますか(笑)

N:後見制度の問題点として,報酬問題は避けて通れないと思うんですよ。後見センターとしても,人を使ってサービスをしようとすると,当然お金が発生するんですけれども。さっきの任意後見制度の繋がりで,費用がかかるってことになっちゃうと,元気な人はやらないとなってしまいがちで。お金がある方ならいいんですけれども。国が後見制度を進めていきたいのであれば,それなりの予算をとって,後見報酬を確保していただかないと,就任する人が居なくなってしまうと思うので,そういうところに関しては,何らかの手当をしてもらいたいと。必要だと思います。

PT:破産管財人にはあんなに報酬を出す裁判所が,後見事件についてなんであんなに・・・(笑)

N:出してはくれるんですよ(笑),岡山は出してはくれるんです。でも回収不能なんですね。30万ですか,どうやって取るんですか(苦笑),って。

PT:財産管理はやっぱり分かりやすくって,何か資産が増えたからっていうのは分かりやすいんですけれど,どうしても身上監護で苦労している部分を,裁判所が理解してくれないっていう感覚は,正直ありますよね。

N:そこもそうだし,この間も江口先生が,ものすごく大変な案件を,訪問回数五十何回で,メール対応回数何回って書いてるのに,付いた付加報酬3万円でしたからね。対応時間を考えたら,いくらなんでもやってられない。

PT:最低賃金すら下回るような報酬になることが多い,だと問題がありますね。

N:利用支援事業がもっと使えるものとなるよう,訴訟をする予定です。

PT:はい。わかりました。じゃあこれで,終わりにしましょう。ありがとうございました。

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