挫折経験

「あなたの、これまでで一番大きな挫折はなんですか?」
新卒の就職活動だと、こんなことを聞かれたりしますよね。
今考えると、21、22歳で就活向きないかにもな挫折経験持っている人って何人いるんだろうなと思いますが、訊かれる以上、答えないといけません。。
就活生は大変です。
駅前で、リクルートスーツの就活生の集団をみつけて、そんなことを思い出しました。
私は、この質問をされるたびに、自分にとってはめちゃくちゃ大きくて、他人から見るととっても大したことのない経験を思い出してしまいます。。。
私にとって(主観的に)もっとも大きな挫折は、小学校2年生のある日の出来事でした。
当時、私は、兄が持っていた横山光輝の『三国志』の漫画を読んでいたのですが、その中で、若き日の曹操と劉備が二人で英雄談義をしている場面があって、その場面を読んでものすごい挫折感を味わってしまったのでした。。
「今の世で英雄と言えば誰だと思うか」
と曹操が劉備に聞きます。
劉備は、
「さあ・・・。袁術か、袁紹か・・。」
などといっているのですが、曹操は
「そんなモンはたいしたことがない。」
と鼻で笑い、雷鳴とどろく中で、

「(今の世で英雄と呼べるのは)君と余だ!」

と言いきります。。
「ええっ!」
劉備はびっくりして持っていた箸を取り落してしまうのですが、とっさに、
「あ、いや、雷が怖くて」
と弁解をした上、曹操からの高評価を下げるべく、雷に露骨に震え、机の下に潜り込んで
「小さいころから雷が苦手なんです・・・。」
などと言います。。
で、それを見た曹操が
(なあんだ。コイツ、雷怖いのかよ。大したことないじゃん。)
と思って油断してしまう、という話があったのです。。
その下りを読み終えた時、私はボー然としてしまいました。子ども心に。。
「あ・・・雷が怖いと英雄にはなれないんだ・・・・。」
小学校2年生の私は、なんにでもなれると思っていました。
(女の子が劉備とか曹操とかに憧れてどうするんだっていうつっこみはなしでお願いします)
がんばったら、いつか英雄にだってショーグンにだって宇宙飛行士にだって、なりたいものにはなんでもなれると思っていたわけです。
子どもにありがちな万能感バリバリの世界に生きていたわけです。
・・・が、違った。。。。
全然違った。。。。。
当時、私は雷が怖かったので(というか今でも怖いです)、
少なくとも雷を怖がっている時点で英雄にはなれない
ということを学んでしまいました・・・。。
人間には向き不向きがあって、なれないものにはどうしたってなれないんだなあと、子ども心に、おなかの底から納得してしまい、いろんなものをあきらめたといいますか、万能感を打ち砕かれた出来事でした。。
いまだに、私はあの時以上の衝撃的な挫折を味わったことはありません・・。。
司法試験に失敗したり、部活やバイトがうまくいかなかったり、仕事の中で「!」と思うことがあったり、、いろんな事がありますが、あのときほど絶望的な感覚には陥ったことがありません。
ちなみに、就活の時、面接で一度この話をしたら面接官にドン引きされてしまったので、それ以来、自分の中で二番目か三番目くらいの、あたりさわりのない挫折経験を話していました。
正直が美徳とは限りません。。
それでは,就活中のみなさん、どうぞお体にお気をつけてがんばってください。

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所属:岡山大学内支所